クリニックブログ

暑さと体温調整
2015年8月11日

 

みなさま、こんにちは。院長の皆川です。

暑い毎日ですが、体調を崩していませんか?

今年は冷夏の予想を覆し、大変な酷暑になりましたね。

猛暑日の連続記録を更新という、あまりうれしくない記録更新もありました。

地球温暖化とか、異常気象とか毎年のように聞こえてきますが、この異常さが今の現実である以上、我々が上手に付き合う努力をするしかなさそうですね。とはいえ、なかなか難しい課題です。

 

さて、我々の診察室にみえる発達にアンバランスのあるタイプの方々の中には、体温調節が大変苦手な人もおられます。

「自閉症スペクトラム」といわれる脳のタイプをお持ちの方に多くみられます。

人間は、自律神経機能の働きで、気温の上下に関わらず、体温を一定に保とうとバランスをとっています。いわゆるサーモスタットの機能を体にもっています。

しかし、この機能の働きが悪い場合、暑いところにいると体温はどんどん上がり、寒いところにいると体温はみるみる下がってしまいます。今のように暑い日に暑い場所にいると、体温が上がるため、普通は汗をかいて熱を下げようとします、しかし、体温調節が苦手なタイプだと汗が出にくく、熱が体にこもるのです。おかげで、体がだるくなったり、動きが緩慢になったり、ぼーっとしたり、頭痛や嘔気など体調不良を感じることもあります。

暑い時に水分を摂るのが大事というのは常識なのですが、汗がかけない方は、水分をとっても尿量が増えるだけで、汗にはならないようです。一方で寝汗だけは多いという方もいます。

また、暑いところにいるという、時間をかけての体温変化だけでなく、興奮したり、怒ったりするだけでもぱっと体温があがる傾向も持ち合わせているようです。

診察室で話していると、すでに大人になっている方も、このような自分の特徴に意外に気づいていない場合が多く、ましてや子どもにそのような自覚はなかなか出ません。おかげで、ほかの子より熱中症になりやすいし、夏バテ症状もおこしやすいのです。

このようなお子さんが扇風機の前に立ちはだかったり、涼しい風の通る場所に立っていたり、冷たい床や畳の上でごろごろしているのは、本能的に体温をさげようとしている行動の場合があります。

「そんなことやったらダメ!」とか、「だらだらしない!」などという前に、体温や体調のことを少し気にしてみてください。上手にエアコンや扇風機を使う、体の太い動脈の通る場所―つまり首とか腋窩(わきの下)、鼠径部(太腿の付け根)手首、足首―を冷やすことなどで対処をしましょう。

学校では体育やプールを外で行うこともありますが、日光のあたる場所に長時間いすぎないとか、疲れてきたり、具合の悪さを感じたら先生に報告し、休憩するなども大切です。ご家族も特徴に気が付いたら、早めに学校にも連絡し、注意していく必要があります。何より、年齢の高いお子さんでは自分の特徴を知ってもらい、自分で自分のケアができるよう、指導やサポートをしていくことが大切です。

みなさん、大変な夏ですが、残りの夏もバテずに過ごしましょう。

 

診察室からの最近の風景です。4月の終わりと現在でだいぶ違います。

立派な木のおかげで、ちょっと日も遮られ、ありがたいと思います。

4月の風景

4月の風景

8月の風景

8月の風景