あじさい
2018年6月11日
とうとう関東も梅雨入りしましたね。じめじめ、ムシムシ、気候的にはなかなかしんどい季節です。ただ、しっとり濡れている草花を見ると、少しこころが和みます。あじさいの花も、あちらこちらで随分咲き始めました。桜の花と同様、花が咲かないと気付かず、「こんなところにあじさいがあったんだ。」と思うことも度々あります。
私は小さい頃、〝がくあじさい″が嫌いでした。花の真ん中は、ぽつぽつつぼみの様なものがついていて、花が咲いていないし、何がきれいなんだろう?と思っていました。大人になってから、「がくあじさいも、味があってきれいだなぁ。」と思うようになりました。
子どもの頃の感覚と、大人になってからの感覚は、色々な分野で随分と変わるように思います。分かりやすいところで言うと、食の好みは、誰でも多かれ少なかれ変わってくると思います。わさびが食べられるようになったり、渋いもの、苦いもの、辛いものの耐性もつきます。そのような五感に関するものだけでなく、美的感覚や人に対する感覚なども少しずつ変わってくることが多いと思います。クリニックで子どもたちの話を聞いていると、「そういう感じ方、そう言えばしていたよなぁ。」と思うことがあります。そういうのを聞くと、なんとなく、胸が苦しかったり、切ないような気持ちになる事もあります。あるいは、「大人になれば、気にならなくなるから大丈夫だよ。」と応援したくなるような気持ちになる事もあります。子どもの時の感覚と言うのは、そういうことでもないと普段忘れてしまっているものです。大人になると、色々なことができるようになったり、色々なことに上手く対処できるようになったりしますが、その代償として、そういう子どもの頃の感覚は失われていってしまっているのかもしれません。
“きれいな”がくあじさいを見ながら、そんなことを考えました。梅雨の季節、大人はなかなかきついですが、何とか乗り切っていきましょう。
磯田清香