別れと始まりの季節
2022年2月21日
今年は寒さが厳しく、また、コロナもまだまだ猛威を振るっていますが、お変わりなく過ごされているでしょうか。
そろそろ、卒業・転勤、入学・就職等々、別れと始まりの季節に入ってきました。始まりは、不安や心配はあるものの、期待や喜びなど、ワクワク感を伴うものだと思います。一方で、別れや終わりは、ポジティブな要素も勿論ありますが、寂しさや喪失感を感じるものが多いと思います。日本人は、比較的別れ・終わりの要素を重要視するような傾向がある気がしますが、例えば、「終わり良ければ総て良し」「立つ鳥跡を濁さず」「有終の美」等々、終わりや別れに関することわざ・言い回しが多くあると思います。ただ、やはり始まりは歓迎されますが、終わりはきつさや辛さを伴い、気が重い感じもするものです。
終わりや別れの最もたるものは、葬儀ではないかと思います。宗教によって、死は様々に捉えられているため、多様な考え方があるのは承知していますが、無宗教的に言えば、死んだ人は死んだままであり、葬儀は、残された人のためにあるのではないかと思います。残された人たちが、亡くなった方のことを思い、その方のことをどのように自分の心の中に収めていくのか、これから先、現実生活ではその方が不在である中で、どのように新たな生活を送っていくか、そんなことを考える最初のきっかけ、区切りのようなものだと思います。
そんな風に考えると、終わりは始まりでもあり、やはりとても大切なものだと思います。どれだけしっかり終われるか、きちんとお別れできるか、が、次に進む大切な一歩になるのだと思います。
もう随分前のことですが、カウンセリングを受けている患者さんで、私の退職に伴い、新しいカウンセラーに交代することになった方がいました。その方は、それまでの人生の中で別れが重要なテーマになっている方で、私が退職を告げると、別れが辛いので、すぐにカウンセリングを止めたいと言われました。“あなたにとってお別れをきちんとすることがとても大切だから、最後まで来るよう”伝え、その方は、何とか2か月間、私と別れの話をして終わることができました。新たなカウンセラーから聞いたところによると、「これまで私は別れを避けてきたけれど、先生とは、とてもきつかったけれど、きちんとお別れできてよかった。」とぽつりと言っていたそうです。
コロナにより、様々な式典や行事が中止になり、歓送迎会なども控えるように言われています。が、どんな形でも、終わりや別れの儀式や式典を行い、どの方も、それを味わって、心の中を整理し、新たなステップに進んでほしいと思います。
2月も終わりに近づき、そんなことをつらつらと考えていました。
磯田