山荷葉(さんかよう)
2016年11月16日
わたしの叔母は、100歳を超えての大往生で、大正、昭和、平成を生き抜いた人です。
「明るく、強く、柔らかな人だった」
わが子にそう教えたところ、「強いはわかる。やわらかいは優しいってこと?」と聞いてきました。
なんと言っていいのやら。
それは、よく言う「優しさ」や「思いやり」とは違いました。
言ってみれば、物事の受け止め方が、とてもしなやかだったのです。
激動の時代を生きて、たくさんの想像を絶する苦労をした人なのに、いつもその人は、見るときちんと立っていました。
雨に打たれた花のように、それは周りにいる私たちの心を打ちました。
雨に打たれると、その花びらを透き通らせ、より美しく咲く山荷葉という花をご存知でしょうか。
その花のように、明るく、強く、やわらかな人でした。
五重の塔の木組みは力を逃す部分があるから倒れることなく建っています。
現在の耐震構造も、自らが揺れて力を逃がして立ち続けることができるその工夫を、受け継いでいます。
風に吹かれてもボキッと折れることなくしなやかに物事を受け止める。
そのことを、子供になんと教えていったらいいのやら。
いつもあれこれ余計なことを考えて、知らず知らず、自分は硬直していないかな?
甘えずにきちんと生活できているのかな?
いつものクセや思い込みで自分を縛っていないかな?
後ろを向いて過去にがんじがらめになっていないかな?
いつの間にか眉間にしわを寄せて下を向いていないかな?
自分の日々の生活を振り返りつつ、
本当の強さを、子どもに受け継いでいけたらな、と思いました。
受付 菊地