「今」に意識を向ける
2016年11月2日
急に気温が下がって季節が進み、気がつけば今年もあと2ヶ月なのですね。
カウンセラーの仕事をしていると、「気持ちのやりくりが上手で悩みもないのでしょう」と思われがちなのですが、必ずしもそうではありません。他のカウンセラーのことは分かりませんが、私自身の実態は、ストレスに押し潰されそうになりながらイライラしたり、失敗しては落ち込んだり、日々、悩みや苦しみの連続です。
とはいえ、自分のストレス状態に早めに気づけるのは、この仕事のために勉強したことが役立っているのだと思います。苦しい気持ちでいっぱいになっている時は、メンタルヘルスの知識から、今の自分を支えるのに役立ちそうなことをいろいろと引っ張りだしてきて、前向きに試行錯誤しています。
最近は、ストレスを軽減する方法の一つとして、「マインドフルネス」が注目されています。テレビや雑誌でもよく紹介されているので、既にご存じの方も多いのではないでしょうか。
マインドフルネスは、過去に起きたことや未来の事柄にとらわれることなく、「今」に意識を向け、現実をありのままに感じる心の持ち様を大切にしようというものです。
『はじめてのマインドフルネス-26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法』(クリストフ・アンドレ著・坂田雪子監訳/紀伊国屋書店)は、レンブラント、モネ、マグリットなどの有名な絵画を通じて、マインドフルネスのエッセンスに触れられる本です。美しい絵画がたくさん掲載されいて、描かれた人物の視線、表情、動作、周囲の様子などを読み解きつつ、「今」を実感しようとする試みは興味深いものでした。
マインドフルネスで目指しているのはとてもシンプルな状態なのですが、実践することは容易ではなく、繰り返し練習することが必要で、私もまだまだ勉強中です。
マインドフルネスに関する本は、これ以外にも、一般の方向けのものもいろいろと出版されていますので、ご関心がおありの方は、書店でご覧になってみてはいかがでしょうか。
(心理 原)