クリニックブログ

猫と暮らしている方たちへ
2023年12月27日

あと数日で2023年も終わりを迎えます。
いつから「もう年末!?」と口にするようになったのでしょう?
この時期になると患者さんと「早いわねぇ」と声を掛け合うのが恒例になっています。食中毒が流行っているようなので、どうぞお気をつけて良い新年をお迎えください。

さて、我が家の猫の話で恐縮ですが、先日膵臓癌と診断されました。
人と同じでオペの対象にはならないそうです。抗がん剤もこれと言うものがなく、治療法としては対症療法のみになります。

現在我が家の猫(以下彼と呼びます)はもうすぐ17歳を迎えようとしていて、毎年ワクチンも健康診断も受けていました。今年の10月に血液検査を受けた結果もオールAで異常はありませんでした。それがここ1~2カ月で体重がどんどん落ちていき、ご飯もほぼ食べなくなりました。先生に診ていただいたところ膵臓に異常があることが分かりました。

猫はよく吐く生き物だと言われています。吐いた状況を見て「これは受診が必要なもの」と判断できるような情報がネット上にはあふれています。彼はご飯を食べた直後に吐き戻し、その後はピンピンしていたので問題がないものと判断していました。「そんなにガツガツ食べたらまた吐くよ」と声をかけていたくらいです。しかし、恐らく病はその時点から彼を蝕んでいたのでしょう。

膵臓癌・膵炎の具体的な症状は、何となく体重が落ちていく、食が細くなる、吐くといった老猫では年齢の変化ともとれるような微妙なものです。健康診断の血液検査の中には膵臓の検査は含まれません。

ですので、こちらから先生に伝えることが何よりも重要となります。

今思い返すと、私も吐くことは伝えていたのですが、他に主症状があった為きちんとそこにフォーカスせずに話の中でさらっと伝えていただけでした。後悔してもしきれません。

もし一緒に暮らしている猫が「ここ数年吐く回数が増えた気がする」「数年単位で体重が100gずつ減っている」などの症状があったら、すぐに先生に伝えてください。吐いた後の状況を聞かれ「おそらく胃腸炎です、お薬出しておきますね」と言われても、食い下がってください。素人から「膵炎の症状に似ている」と言われ嫌な顔をする先生がいるかもしれません。しかし悪化してから気付くよりははるかにマシです。セカンドオピニオンのタイミングも見誤らないでください。優しくて良い先生でもなぜかモヤモヤする、不安を感じるなどの違和感があったらすぐに従ってください。

猫の膵臓癌は珍しいそうです。私も腎臓病やその他の疾患に関しては気を付けて見ていましたが、膵臓は知識不足でした。幼少時より猫と暮らしていて、猫に関する本も何十冊も読んでいたのに・・・と、自分を殴ってしまいたい衝動にかられます。

皆さんはそのような後悔をしない為にも、どうか私のようにはならないで欲しいと願っています。愛猫とともに素敵なニャンダフルライフを楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

受付 米田