“じっとできない”子どもの気持ち
2015年6月1日
落ち着きがない、じっとできない、しゃべらずにはいられない…、このようなことで、周りの大人たちから、たびたび注意されてしまう子どもたちがいます。今日、ご紹介する本に登場する“ディヴィッド”もそんな特性を持つ子どもの一人。いつも担任の先生から注意されています。
ディヴィッドは、自分でも「いつものパターン」に気づいています。ふと、とびきり面白いアイデア!が思い浮かんで試してみたくなるのです。それを咄嗟に行動に移してしまうと…、担任の先生からは、いらいらした調子で、他の子に話しかける声のトーンとは違う「ディヴィットモード」で注意され、クラスのみんなからは「また注意されているディヴィッド」と見られてしまいます。
このディヴィッドが、せっかく思いついた素晴らしく面白いアイデアが、誰からも共感されたり認められたりしないままに、ただ場面に合わないからという理由で、「じっとしていなさい」「静かにしなさい」という言葉で、ダメなものと否定されてしまうのはとってももったいない感じがします。気持ちの面でも、自分に置き換えて考えてみると、せっかく思いついたアイデアを、頭ごなしに注意されたらと思うと、とても悔しくみじめな気持ちになってしまう自分が想像できます。だって、それぞれの行動には、それをやるに至った理由があるのですから。
気持ちをコントロールする、やりたくないことに取り組む、やりたいことをやらないでいる、ということは、多くの人にとって難しいことだと思います。しかし、気持ちをコントロールする方法を学び、素晴らしいアイデアの良さが最も発揮される場で実行されれば、みんなはもっとその子どものことを認めてくれるでしょう。そうすれば、子ども自身の自己効力感が増し、のびのびと自分を表現できるようになっていくことが期待できます。
私はディヴィッドがこの本の中で紹介してくれる解決法で、少しだけ、今やっていることを妨げようとする考えを、脇に置いておくコツがつかめたような気がします。
この本は、クリニックの待合室にもあります。ご興味がおありの方は、どうぞご覧になってみてください。
心理 原
『ボクはじっとできない-自分で解決法をみつけたADHDの男の子のはなし』(岩崎書店)
文:バーバラ・エーシャム/絵:マイク&カール・ゴードン/訳:品川裕香