ご挨拶
2016年3月15日
最初に皆様へご挨拶をさせて頂きます。
私事ですが、出産準備のために3月をもって退職することになりました。
大きなお腹を見て、仕事場では「先生、食べ過ぎたの?」と聞かれたり、「先生、走っちゃダメ~!!」と怒られたり、重い荷物を運んでいると「先生、大丈夫?」と持ってくれたり、子どもたちの反応は様々でした。つわりで真っ青になりながらの勤務は大変でしたが、子どもたちの言葉に何度救われたかと思います。
めぐみクリニックでお会いしている患者さんも20歳未満のお子さんが多いのですが、ひとりひとりユニークな感性や鋭い感覚で私に面白い質問をしてきたり、優しい言葉をくれたりすることがありました。病院というところは「治った/悪くなった」の評価だけで見てしまいがちですが、「豊かな発想」「成長」「変化」というキーワードが見えると「よくなってきた」と私のセンサーが働きます。無関心だったことに反応したり、パッと五感が働いて動いてみたりするような時は人がしっかり生きているという証なのだと思います。
私たちは「病」とか「障害」という言葉に敏感に反応してしまいます。
それは「なおしたいところ」「なおすべきところ」をピックアップして敵対視する発想です。
しかし、赤ちゃんについて調べていた時に驚くべき話を聞きました。
皆様はご存知なのかもしれません。赤ちゃんは産道を通る時に大量のバクテリアを浴びるそうです。
それが赤ちゃんの腸内に菌が棲みつくきっかけになります。産道を通らない場合でも同じです。
空気中の細菌や産科スタッフの手指などから菌が取り込まれて赤ちゃんのはじめの腸内環境を作っていくそうです。
生まれてすぐに菌と闘ったり同棲したりしているんですね。医学の発展により、命を守っていくことも大切なこと。でも、自分の中にある、汚いゾーン、嫌いなところ、なおしたいところを排除する形をとらない方法もまた、私たちを生かしているのかもしれません。
自分のありのままを潰したくない、周りに合わせた生き方ではどうもうまくいかない、そう気付いた人たちが新しい道を探したいと思った時に一緒にその道を開拓していくような仕事を私はずっとしてきたように思います。まためぐみクリニックで皆さまに会えますように、日々、頑張っていきたいと思います。今までありがとうございました。
臨床心理士 菊地加菜